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タワシのフレンドパーク。

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TBSテレビの東京フレンドパークをよく観る。
ひとしきりゲームをたのしんだあと、
いよいよ、最後の、ダーツで、商品をはずすと、「ああア」と失望感の吐息が洩れる。
そして、「ハイ、タワシをどうぞ」
受け取る人の情けない表情。
でも、タワシ本人は、もっと情けないと思っていることだろう。
落胆の象徴にされて。

そんな時いつも、タワシつくりの現場にいった時を思い出す。
あのタワシは、滝野川の『亀の子束子西尾商店』の製造したものだと聞いた。

ぼくは、このフレンドパークの放映される何年か前、このタワシの会社を取材した。

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亀の子たわしは、年配の人のなかには、母親につながるイメージをもつ人もいよう。
木造やコンクリートの粗末な台所で、タワシで鍋、釜の汚れを落している、お母さんの後ろ姿だ。
亀の子たわしの誕生もそれに似た風景から発想された。


創業者の西尾正左衛門は、1907年、開発したシュロ製の靴拭きマットが、
欠陥品だったため、返品の山を抱え、途方にくれていた。
そんな時、妻のやすさんが台所でそのマットを使って、洗い物をしていた。
「お父さん、このシュロは、すごく汚れを落とすよ。」と言ったかどうかは知らないが、
まあ、そんな会話があったらしい。

らしいとかいたのは、ぼくはそう聞いたのだが、
10月5日の朝日夕刊には、妻のやすさんは、障子を洗っていたと書いてある。
つまりコマカイことは、はっきりしないが、まあそんな話だ。

それを聞いて、「シュロが汚れを落とすのか」
正左衛門は「これだ、」と台所用品のヒントを得た。
それが亀の子たわしの誕生につながるのである。


これは売れた。
製品は、改良を重ね、いまもココナツ椰子を原料にした
タワシが、100年近い年月を経ても、台所にどっこい生きている。
勿論、フレンドパークにも。


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それにしても、東京フレンドパークのプロデューサーのタワシのアイデイアは鋭い。
あのタワシを狂言まわしに使うとは、ふつうちょっと考えつかないぞ。


一方、西尾商店も、昔から、広報、広告にたけていた。
亀の子たわしの類似品が出て来て、特許侵害で泣かされたが、
正左衛門は違法業者に、法的報復などせず、
そんなことより「広告に全力を尽くせ。」というわけで、
大正時代でも、新聞や婦人誌に巨大な広告を打ち、
大道芸をPRに使うなど、広告というものを重視した。
いまの三代目社長がこのTVの企画に応じたのも、そういう血の流れがあるからだろう。

しかし、タワシにとっては、ちょっと、微妙な扱われ方である。
クライマックスに登場しスポットがあたるが、役割は、悲しいピエロだ。

タワシ君、いろいろ言いたいこともあろうが、
昔の唄にもこんなセリフがある。
「りんごは、なんにも言わないけれど、りんごの気持はよくわかる。」(作詩サトウハチロー)

タワシの気持ちもさることながら、作業している、屈託のないあのおばちゃん達も、
ニガ笑いしながら、フレンドパークを楽しんでいることだろう。

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