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カンパニュラ、風のガーデン。

1

恵比寿ガーデンシネマ、に時折出かける。
直近では、りチャード・ジェンキンスの主演する「扉をたたく人」を観た。
要約すれば、こんな映画。

頭でしか、ものを考えて生きてこなかった初老の大学教授。
孤独な人生である。
それが、ジャンべとよぶ打楽器を演奏する男と出会い、
新しい自分や、生き方を発見していくというスト−リーである。

「ウ−ム。新しい人生かァ」

2

 
帰り道、すぐ脇にある緑と花のガーデンに立ち寄る。
恵比寿ガーデンプレイスという、都会のど真ん中にありながら、
ここは、静謐で、ほとんど人がいない。
ここがぼくの安らぎの場所になったのは、倉本聡のT.Vドラマ「風のガーデン」を観てからである。

ぼくは、花の名前も知らない不粋な男である。
しかも、せっかちで、公園でゆったりできるような人間ではない。
それが、このドラマにハマり、このガーデンにはまったのだ。
中井貴一のかっこいい医師が、美女たちとの恋の遍歴を続けるうちガンに倒れるのである。
そして、カッコいい死を迎えるのだが、
死がそんな華麗なわけはないさ、と思いつつもそんな死に、だれも憧がれをもつのだろう。


3

黒木メイサのツンとしたりりしさが、魅力だったし、
なにより挿入曲の平原綾香のカンパニュラの恋(作曲ショパン、編曲椎名邦仁)が心に沁みた。
昨年の冬の間をなぐさめてくれたのは、このドラマと「カンパニュラの恋」の曲だった。
そんな、年甲斐もないトレンディードラマへの、のめりこみに、
わが、パートナーは、どんな気持ちで眺めていたのかしらないけど、
あけて3月4日、ぼくの誕生日に「ハイ」とリボンのついた小箱が彼女から渡された。

4


あけてみると、平原綾香のCDだった。勿論あの曲の組み込まれたものだ。
嬉しかった。
部屋を暗くして、ラジカセで、曲を聞く。
ラジカセは、ボーっと三色のやわらかな灯をともす。
好きな色を選べるが、青い光が好きだ。
綾香を聞く。
すると、いつも遠い青春が甦ってくる。


5

それは、きまって、ところは、静岡の呉服町の「田園」という喫茶店である。
そのころ銀行員だったぼくは、その店にいつもわがパートナーに電話で呼び出された。
過ごす時間は、1時間のこともあれば、土曜などは、3〜4時間のこともあった。
いつも、彼女と向きあいながら、ぼくは、居眠りをしていた。
いつも、いつでも、だった。
まるで、えい児が、揺りかごで安心して眠るように。
そして、パートナーは、黙って、折り紙を折ったり、小声で、
なにかハミングしながら静かに時間を過ごした。
まるで、いまの賑やかな生活や時間を、老若それぞれの時代、
逆に使ってしまったかのように、その時は、不思議な静穏の時間の日々だった。


いま、隣で、キミも綾香を聞いている。
ぼくは、ひそかに昔を思い出している。
そんなぼくの思いを知ることもなく、
キミは、静かに曲にひたっている。


My Love
かえる場所は ふたり過ごしたカンパニュラの刻
そっと 降るはずのない雪が舞う(綾香)


6

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