« 帰ってきた三菱一号館と丸の内、そよぐ緑の風。 | トップページ | 霧の子孫に出会う。 »

香港か? 月島。ニューヨークか? 佃。

Tukishima_top

香港か?
運河の中へ足場を組みいれたボロボロの建物がある。
晴海トリトン側から、月島を眺めると、その奇怪な建築物が見える。
当然、好奇心にかりたてられて、調査におもむく。
ところが、
この家のぐるりは、建築中の建物をふくめ、びっしり密集していて、
ぼくの、探査力では、当該物件に到達できない。
6~7軒の小さな会社や、民家が蝟集しているのだ。体ひとつしか通れない
路地も、行き止まりになっている。
ウロウロしていて、怖そうな職人さんに咎められるかもしれない。
このあたりで、20人ほど、聞いたが、ほとんど事情を知る人はいない。
無愛想で答えなかった人を含め、全敗。
取材日が月曜だったせいもあって、図書館や、区民施設なども調べようにも休みだ。
対岸に行って、定年釣り人風の人たちと和みながら、かれらに聞いてみた。
どうやら、あれは大きな材木屋だったらしい。
運河を利用した、材木を運ぶのに便利な構造で、近くに大きな貯木場もあった、という。

一方、永代橋から一望する佃のビル群は、ニューヨークの一角を思わせる美しさだ。
隅田川が東京湾に、ここで、相生橋方向と勝鬨橋方向にわかれる。
ここを行き交う、いろいろな、個性的な船を観ていると時間を忘れる。
「卑弥呼」のような宇宙風の船が、快速でゆくとおもえば、正体のはっきりしない小舟が葉のゆらぐようにゆく。
遊覧船のオープンデッキでは、びっしりと詰まった、乗客に、たべものをねだって、
かもめの群れが船を追う。
それがまた、かわいい。

P1040844
ニューヨークのような佃のマンション群

このニューヨーク風の、
ビル群のたたずまいを楽しむには、午後、と夜の風景が、絶品だ。

この香港、と、ニューヨークの間に、若者が、大好きなもんじゃを主体の月島仲通り商店街がある。
一説に200軒ともと噂されたもんじゃ屋だが、月島もんじゃ振興会協同組合のパンフには、
加盟店が68軒とある。
クリーニング屋のおばちゃんは、
「全く、どんどん店が出来ても、どんどんやめるんだ」
と、ちょっと批判的。
土、日は、若者達がこの通りをゾロゾロ歩く。
若者が好きなのは、この街の雰囲気もあるのだろう。
路地に、古い昔の暮らしがあり、ホットする風景が、ふんだんに転がっているからだ。
狭い路地の両側の二階を、廊下で渡している家もある。
その、路地で、猫よけのペットボトルを置いてある家の前に男が立っていた。
この風習は、日本だけでなく、北京の郊外でしばしばお目にかかった。
勘で、「中国の方?」って尋ねると、そうだという。
たたみかけるように、「じゃあ、もんじゃの店やっているんだ?」
というと、そうだ、という。
何軒か、かれの仲間が経営している、という。
中国人の、もんじゃはどんな味かな。

P1050350
月島もんじゃ街


P1050377
路地をはさんだ廊下


P1050337
中国人のもんじゃ屋と、猫除けペットボトル

ぼくは、もんじゃ屋は「近どう」へ、時折出かける。
コンドー、です、だ。
やや、しゃれた調理で、まあ、うまい。
人気もあり、ここ数年で店を三軒に伸ばした。

この町を、ぼくも好きで、少しだけだが住んだ。
やはり、佃では、住吉神社と、運河、それに桜小橋がいい。
このあたりの風景のなかをぶらぶらしていると、
時代劇の書き割りのなかに嵌まりこんだような、不思議な陶酔感にひたれる。
とくに、夕暮れ刻がいい。
うーん。この渋さはたまんないなあ。
ゲーテではないが、
「時よ止まれ。
きみは、あまりに美しい。」 だ。

P1050465
佃、住吉神社

P1050435
夕暮れの桜小橋

もうひとつ、ぼくの好きなのは、佃三丁目。
ここは、明治、大正と、避暑地として、住みやすい住宅地だったらしい。
海水館という、旅館があって、島崎藤村をはじめ、竹久夢二など多くの文人たちが、
遠く房総を望む絶景にひたりながら、執筆にいそしんだという。
いまは、この住宅街も昔の面影は薄れたが、
住人のおだやかさと、上品さは、変わらぬように思える。
土地の格というか、地霊のようなものがもたらすのだろうか。

P1050283
海水館跡

地霊といえば、この佃、月島あたりには、歴史的に美談が多い。
そもそも、徳川家康が、自身、摂津で助けられた漁民にむくいるためにかれらに佃の土地を与えた。
その後、水に窮乏していた月島に水道橋の相生橋を作った、官僚の献身。
それに貧しい水上生活者を助けた「あかひげ医師」の物語など、数々の美談にいろどられた土地柄である。
いま、マンションが乱立している。
ぼくらは、路地裏に懐旧の匂いを求めるが、
いずれは全部がコンクリートの町に変るだろう。
その時、この町が、いまの魅力を失わないためにはどうしたらいいのだろう。
例祭に登場する大切な柱の沈められた運河をながめながら、
この柱が佃の骨格だな、と思う。
ここで、不変なるものを求めれば、祭りにいきつく。
佃の祭りは、厳粛な祈りと、しきたりの厳しさを踏まえて、
この町の魅力をつくりあげてきた。
そこに原点があると、思うのだが。

P1050407
柱を沈め、保存している堀

|

« 帰ってきた三菱一号館と丸の内、そよぐ緑の風。 | トップページ | 霧の子孫に出会う。 »

僕的、都市ウオーク&おいしい。」カテゴリの記事

写真」カテゴリの記事

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1150352/32222909

この記事へのトラックバック一覧です: 香港か? 月島。ニューヨークか? 佃。:

« 帰ってきた三菱一号館と丸の内、そよぐ緑の風。 | トップページ | 霧の子孫に出会う。 »