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帰ってきた三菱一号館と丸の内、そよぐ緑の風。

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丸の内。
へんなものが、うごめいているぞ。
小型の車かな、と思ったが、人間が、もぞもぞ足を動かしている。
輪タクという、自転車のタクシーが、昔あったが、あれかな。
聞くと、ベロタクシーというのだそうだ。
2002年から、千代田、港区など4区で走らせているというから、
知らないぼくがうかつだった。
これが、走るさまは、実にいい。
走る、というより、虫が動くという感触だ。
この遅さ、この軽さがいい。
こういう、スローなペースや、コミカルなムードが、丸の内の堅苦しい雰囲気を変えてしまえばいいのに。


さかのぼって、丸の内の重い話。
明治27年、英人ジョサイア、コンドルの設計で丸の内ではじめての近代的オフィスビル「三菱一号館」が建設された。
日本の開明期である。
明治時代のバンカー達は、時代を拓く責任を担い、理想に燃えた。
その三菱一号館の一帯に英国風に建築されたビル群が、「一丁倫敦」と呼ばれた。
財閥が、貫禄を保持し、金融や、証券が、プライド高い職種だった頃の、重厚な建物だった。

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そんな先駆者の思いのつまる「三菱一号館」が、昭和43年に取り壊されてしまった。
高度経済成長の流れに沿った合理主義が、一丁倫敦をつぎつぎ消して便利なビルに変えた。
金融界の、信用、ジェントルマンシップが、その後のバブル崩壊などで
ガラガラ崩壊していったことと、これらの建物の消滅がダブルのは皮肉だ。

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新・三菱一号館

40数年経て、三菱一号館は新しく、再現された。
なぜ、再建されたのだろう?
当時銀行だった重厚なフロアーは、ギャラリーや「cafe 1894」、という飲食店になった。
先駆的な時代の匂いを、いま活用しようということだろうか。
一世紀前の時間をスライドさせ、当時の重厚な雰囲気をそこに持ち込もうとしても、
壊されてしまった建造物の存在感は、回復しようもない。
先人の気配や匂いも消え、柱や床に刻まれた生活の痕や思いも失せたからだ。
つまり、古いものの価値は、壊せば終わり。再現などできないのだ。


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cafe 1894


まあ、いまさら愚痴ってもはじまらない。
あたらしい環境を楽しもう。
三菱一号館とガーデインを挟んで、「Park Building」ができた。
新風のビルの店揃えは、どこも似ているようだ。
ここも老舗に加え、三国清三さんや、山本秀正さんなど、定番の有名シェフを揃え、
スペイン王室御用達のショコラテリアの店の初見参が興味をそそる。
しかし、相変わらず、下駄っぱきで行き難いのだ。

ところが、関係者はいろいろ考えたのだろう。
庶民のために、地下にスタバやローソン、居酒屋風のきさくな店を並ばせた。
ラーメンの一風堂もある。
もともと、サラリーマンがひしめくオフィス街を高級なブランド店、飲食店で占めるのは、現実的でないと思っていた。
ベロタク感覚。いいぞ。

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Park Building

ブリックスクエアの中庭はこじんまりしてはいるが、清怜な風が通りぬける感触がいい。
いい環境が現れると、素敵な人たちが、現れる。
一方、両丸ビルのがんばりと相まって、丸の内はなかなか堪能できる街になった。
三田線の大手町駅を出ると、地下一階に行幸ギャラリーがあり、
100メートルもの長さで力作の絵画が並ぶ。
地上ではあちこちに彫刻が設置され、都市公園的で
街全体の空間が広々している印象だ。
日比谷方向に抜ける仲通りには、深緑の木々に風がそよいでいる。
散歩していても、心地いい。
疲れたら、
丸ビルの地下一階にポツンとゴディバのアイスクリームの店がある。
ひやりとしたアイスの感触が、疲れをとる。


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丸ビル

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丸の内・中通り

そして、最後に、
いい店を見つけた。
pass the baton という店。
中古品の委託の店だ。三菱一号館と一体のbrick square にある。
自分の愛蔵していた品を、その品にまつわるエピソードと本人のポートレイトを添えて、店に販売を委任するのだ。
ホウ、あの人の所蔵品もあった、てな調子の楽しみもある。
ぼくも、他店だが植草甚一の小物をいくつか手にいれた。
植草さんの思いが、その品に滲みでている。
センシブルなものや、ユニークな品の数々、持ち主の味わいがうががえて楽しい。
ものの魅力にくわえ、持ち主の物語も添えて買えるという、発想は、この店で教えられた。
丸の内をぶらぶらしてとても楽しかった。

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pass the baton

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