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垣根の、垣根の、曲がり角。「新井薬師」。

01


垣根の、垣根の、曲がり角。
焚き火だ、焚き火だ、落ち葉、焚き。

木枯らしの寒い、今日この頃、この歌をしきりに思い出す。
子供時代、母親がよく歌ってくれた。
だれの、お母さんもそうだったろう。
ぼくの、母親は、49才で、この世を去った。
その、思い出の歌が生まれた(垣根の家)を見てみたい。
かねてから、その希望をもっていた。
それに、眼の悪い、ぼくだ。
垣根の家の近くの、眼にご利益のあるという新井薬師に参拝もしたい。
今日、急に思いたって出掛けた。

西武新宿の新井薬師の駅を降りると、カラスが、近寄ってきた。

02_2

大きく口をあけて、何回も鳴く。
「餌をねだってるんだね。」
「餌ずけをしているのかしら。」
3人のおばあちゃんが、立ち止まり、からすを眺め、おしゃべりしていた。
のんびりした駅だな。

駅から、垣根の家へ。
目星をつけた東の方角に歩いてゆく。
すこし、背中の曲がったおばあちゃんが歩いている。
「あのオ、垣根の垣根の、家は、どっちですか?」
「ああ、わたしも、そっちの方へいきますから。
 足、悪いんで、ノロノロですが、
 よかったら、ごいっしょしましょう」


おばあちゃんとのんびり、そこへ向かう。
「このあたりは、大地主が何人かいて、垣根の家も、その大地主なんですよ」
「ほう?」
おばあちゃんは、人様の庭らしいあたりを、スイと、横切った。
「ア! ここ、歩いていっていいんですか」
「ここも、大地主の土地ですよ」

返事になってない。

でも、なんか、いいみたい。
余計なこと考えず、いいや、おばあちゃんについていこう。
老人会館という建物の前で、おばあちゃんが、足を止めた。
「おおい、誰かいるう?」
おじいさんが出てきた。
「あのオ、せーべーさんの、家どこだったかねエ」
「なんだよオ。そこじゃねえか」
「ああ、そうか。そこですよ」
有難く、礼をいって、そこ、垣根の、「せーべーさん」の家に急いだ。

なんだ、なんだ、この垣根の長いこと。
すごく、いいじゃん。
大木に、でっかい、きのこが生えている。
こんな見事な垣根は、ほかではあまり見かけない。
こりゃあ、誰でも感動するわなあ。


03
せーべーさんの垣根の家


木枯らし、木枯らし、寒い道、
「おかあさんー。ここが、あの歌の道だよー。」
ものすごい背の高い、けやきの茂る、「せーべーさん」のお屋敷のまわりをぐるぐる散歩する。
常緑と、落葉樹、沢山な木々に囲まれた屋敷だ。
落ち葉もすごい量だろうな。
焚き火だ、焚き火だ、落ち葉焚き。
どこで、焚き火をしたんだろう?
あたろうか、あたろうよ。北風ピー、ピュー、吹いている。


童謡は、「たきび」。
この近くの上高田4丁目に住んだ、巽聖歌(本名、野村七蔵、1905~1973)が、
この竹でつくられた見事な垣根のまわりを、しばしば散歩して、深い感慨を抱き、
つくった童謡だそうだ。
聖歌は、北原白秋に師事し、「たきび」は、昭和16年(1941年)に発表された。
その歌は子供の心を捉え、だれもが口ずさみ、音楽の教科書にも載った。

いまも、この垣根をつくり続けている、職人がいると聞いて、そちらへ急ぐ。
2~3の人に訊ねてみたが、どうも場所がわからない。
そんな、こんなのうちに、交番の前にでてしまった。
よかったア。
いいおまわりさんがいた。
コチカメの両さんみたいにいかつくない。
昔の森繁の映画にでてくるような、小太りで、白斑めがね。
駄菓子屋で、子供相手が似合いそうな、人のよさそうな。
こんなおまわりさんも、いまどき、いるんだな。

竹の職人宅を聞いた。
デカイ天眼鏡で、地図を探してくれた。
チョッちょちょ。
「ア!あったア」
「ちょっと、遠いよ。500mくらい。」
ありがと。
すぐ近くだった。


「庭竹」というのが、その職人の店で、「せーべーさん」の塀は、
庭竹が手がけているらしい。
職人は留守だった。


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竹をハスに切ったなかに、かぐや姫のように人形が
鎮座している作品がならんでいた。
かわいいー。

しかし、ここは、街のどのあたりだろう。
どうやら、いまぼくのいるところは、新井薬師から、反対方向のようだ。
途中で、四人連れのおばあちゃんに、道を訊ねた。
四人で、わア、わア、わア。
なんだか、わからないが親切だ。
「あっち、あっち」
みんなで指差す。
ひとりだけ、30度ほど、ずれている。
「ありがとオ」、先に進む。

やっと、新井薬師商店街にたどりつき、妙な彫り物を店先に発見する。


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牛が、大きな木材のような荷物を荷車で曳いている。

懸命に。

人もふたりで懸命にそれを、押している。
人馬、じゃない人牛ともども、懸命な姿だ。

感動する。


思いもよらぬところに、こういう拾い物があるので、散歩はやめられない。

甘味の越路家で、家内に頼まれた豆大福を買う。
こぶりの大福だが、100円しない値段に驚いた。
商店街は、薬師様の古い門前町だけあって、もう都会では、あまりみかけない
品物を並べた店や、古道具屋など、いずれも昔風な雰囲気の店が多い。


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やっと、薬師様にたどりつく。
徳川秀忠が娘の眼病治癒を祈願して開山したお寺で、
ご本尊は、弘法大師の作と伝えられる薬師如来と、如意輪観音の二仏
一体の黄金仏で、眼病と子育てにご利益があるとされている。
さっそく、眼の健康を祈願した。

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ふたつの「め」の字が向き合った、「めめ絵馬」のデザインが面白い。

08

のどかな感じの、古寺の雰囲気もいいなあ。
境内に物売りがチラホラ。
みたことのない植物の株を売るおじさんがいた。
腰の曲がったおばあちゃんが、おじさんと、この植物談義をしている。
「冬場、植えたって根ずかないでしょ、だめだヨ。」
おばあちゃんは、なかなか雄弁だった。
おじさんがタジタジだ。

今日は、随所でおばあちゃんパワーの炸裂するのを楽しませてもらったなア。
帰りの駅には、カラスはいなかった。

09
雄弁おばあさん

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