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ぐるっと、谷根千。谷中その5。

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谷根千の古い家並に、若者がいる。
風景が、「オヤッ」と、新鮮な魅力に変わる。
古い風景が、新しい要素とからみあって、ガラリ楽しい。
この街の特徴は、古い家や風景を活用した若者のイベントやパフォーマンスが盛んなことだ。

いつだったか、面白い企画を耳にした。
「ぶらっと着物、着物で谷根千」という(古着屋さんの企画か?)
アイディアで、根津神社~ヒマラヤ杉~夕焼けだんだん、というコースを、
若者が着物で散歩する、イベントが、行われたらしい。
ぼくは、行けなかったが、面白そう!
細い道をぶらぶらしていたら、着物は着物でも、「ヤヤッ!」
玄関に、着物を飾ったフシギな風景に出合った。


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奇妙な着物

御殿坂通りを、左折して、朝倉彫塑館(改造中)の方角に向かう。
ギャラリーなど、文化的な店舗や施設が多い。
誰が名ずけたか、ここを「谷中アートストリート」というらしい。
古い民家の二階でウクレレをつまびく若者がいる。
いい風景になってるな?
不躾にカメラを向けたので、睨まれてしまった。
ごめんよ。
一階では、イベント企画でも練っているのだろうか。数人の若者がたむろしてた。
その民家は、間間間(さんけんま)と名ずけられている。
大正8年築の民家を利用して、多目的な運営をしているらしい。
聞くところ、一階は、曜日によって喫茶、バー、尺八教室など、
変幻自在な、店舗展開をしている。
二階は、下宿屋になっているのだそうだ。


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間間間


すぐ傍で、「天才ナカムラスペシャル」さんが、
路上の石に彩色し、その石でパターンを画くパフォーマンスをやっていた。
夕方、そこで舞踏家の中村達哉さんとの、コラボがあるのだそうだ。
ここで踊ったら、足がイテーダロウな。


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石のパフォーマンス

「小倉屋」という江戸時代から続いた質屋を利用したギャラリーがある。
文化庁の有形文化財登録に指定された(2000年指定)建物だ。
いまは、「スペース小倉屋」として、絵画が中心のギャラリーになっている。
ギシギシと、壊れそうな階段をあがり、日本間で、展示物を鑑賞するのも、
不思議な感じでいい。


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スペース小倉屋


いずれにしても、この通りは、ほかにも骨董屋とか賦力屋(ブリキ屋)などあり、
古い家屋や古い家財などを、損なわず活用していこうと、街をあげて、
雰囲気ずくりの努力をしている。

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ブリキ屋

初音小路の横にある、ネコグッズの「のら」の店先を撮影していたら、
店のご主人が、陰から現れて、「さ、どうぞどうぞ」と店内に招き入れられてしまった。
話好きな方で、ここに店を構えたいきさつをたっぷり語ってくれた。
このネコグッズの店を経営するにあたり、
一番住み良さそうな立地はこの街だと、確信して移ってきたのだそうだ。
なぜ、確信を?
「野良猫がゆうゆうと生息できる街なんて、あまりないでしょ。」
ご主人も、かなり野良猫に同化してるヨ。
そういえば、店の名も「のら」だ。

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猫グッズの、のら


明暦の大火後に江戸の中心部から、焼け出された多くの寺院が、
どかどかっと移転してきて、「谷中八丁に、九十八か寺」と呼ばれる程の巨大な寺町が、形成された。
寺が、8~90ある地域だから、ネズミが多い。
それで、猫が活躍、という構図もあるらしい。
人間と猫の関係は、いずれにしても、そんなからみで継続、深化したようだ。
「この谷中の人達の余裕の生活観や、人情には、長い歴史の積み重ねがある。」
うん。なかなかの蘊蓄話だ。
オレも賛成ですよ。
店のウリだろうか、「ダヤン」のグッズが多い。
ぼくも、攻撃的なダヤンの顔、好きだヨ。
ダヤンの生みの親、池田さんは、たしか谷中で育ったんだっけ。

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谷中の街


パワースポットが、流行りだ。
鬼門だの、ご利益、厄災がどうだとか、考え始めると面倒だから、
そこにいるだけで、くつろげたり、穏やかな気持ちになれる場所が、
心身に良いのだと決め、探す。
そういう安らぎのスポットをいくつか見つけた。
お寺だ。
一般の参拝客を拒む寺もあるが、その逆に、
参詣客を、くつろがせる雰囲気をつくっている寺もある。

まず第一に、天王寺(感応寺)だ。
由緒もあり、整然としているが、やさしく、居心地がいい。
ぼくは時々、古木の伸びた庭に近い、本堂の縁側に腰をかけ、
その枯れた味わいをゆったり楽しむ。
この寺は、波瀾万丈の歴史をくぐり抜けてきた。
さすが、大物の寺だ。
ドラマテイックな(幕命で改宗させられたり)法難の傷痕を窺わせることもなく、
静謐な空間は、悠久の時間の流れるのを感じさせる。
江戸時代は、谷中墓地のほとんどが天王寺の寺領で、門前町も栄え、
宝くじのもとである「富くじ」が、この寺で盛んにおこなわれたが、
その喧噪を偲ばせるムードなども、いまは、かけらもない。


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天王寺の境内

富士見坂を下る。
ここを下った先に、探し物がある。
画家、有元利夫さん(1946~1985)の家を探すのだ。
有元さんは、教会の漆喰壁などに描かれる、フレスコ画の質感を、
日本画で使う岩絵の具で表現し、注目された。
「花降る日」続いて「室内楽」と力作で、安井賞の特別賞と大賞を受賞した。


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花降る日。(1977)


有元さんの絵は、イコンの匂いがする。
しかし、パワフルな外国の宗教画と違う、おだやかでソフトな宗教的な、雰囲気がいい。
もう、何年、経つのだろうか。
雑誌の取材で、かれのアトリエを訪問したことがあった。
温和な方で、とても和やかに時間を過ごした印象があった。
残念だが、かれは早世してしまったが、その楽しいひとときの記憶、(ただ、それだけの、ことだが)
思い出され、かれのそのギャラリーがまだ存在しているのか、探した。

だいたい、アタリをつけてきたのだが、なかなかみつからない。
たしか、実家が、文房具屋を営んでいると聞いた記憶がある。
喫茶乱歩、武藤書店の両ご主人には、その、家捜しに大変お世話になった。
不忍通りの商店街を、クリーニングやさん、パン屋さんなど片っ端から
あたって、やっとそれらしき家を発見した。
呼び鈴を押したが留守らしい。
ふと、表札に気ずいた。
なつかしや。
もう、2~30年経つただろうか。
かれの書いたであろう、表札の字だ。
「有元利夫」
風雨に晒され、薄れていた。
「うーん」
思わず、感ずるものがあった。

そのアトリエは、いま、かれの奥さんが使用している、と後で知った。


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アトリエ。

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表札。

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