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妖怪の季節、ゲゲゲの街。調布。

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以前、調布の、水木しげるさん(漫画家)の自宅に取材で、伺ったことがある。
車を転がして行ったこともあって、場所がどこだったかを忘れてしまった。
今日は歩きだ。
水木邸に用事があるわけではないが、周辺の取材をしてみたい。
うろうろしたあげく、何人かに水木邸の場所を尋ねたが、要をえない。
豆腐の仙台屋で、親切な老夫婦が、知っていた。
「そこの道、真っすぐなんだけど、ふたつあるお寺のこっち側だったな。」
とご主人。
おくさんが、
「水木さん達、引っ越してきて、奥さんが裏の戸を開けたら、墓がみえたって、
 テレビのドラマでやっていたから、お寺の裏じゃない?」
ぼくが、取材にきたのが、20年くらい前だ。
その時の印象と、あまり変わらない。
住宅がたてこんできたが、農地も結構、残っている。

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このところ、NHKの朝ドラ、「ゲゲゲの女房」(水木さんの奥さんの原作)
も放映され、調布も登場、ドラマも街もなかなか人気らしい。
貧乏時代に、傷んだバナナを大量に買い込んだ夫婦のフィギアなども、土産物屋でみかけた。
ぼくも、その人気に便乗して、今週のテーマは、「ゲゲゲの街」だ。


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水木邸近くの農園


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傷んだバナナで、飢えしのぐ


マンガのキャラクターイメージを、街おこしに活用している都市は、かなり多い。
この調布は、水木さんが気に入って長年住む街だ。
すべてが、水木好みの街のようにみえる。
妖怪と水木さんと、森や畠など自然と、多くの寺が混然と溶け合うような、フシギな環境だ。
「夜、暗い場所があるということ。
 これが、人にとっても、妖怪にとっても、大事なことなんです。
 東京には珍しく、調布には今もそれがあるんです。」(散歩の達人)
と、かれは述べている。
いうまでもなく、近代社会は、空間から暗がりを奪っていった。
「陰影礼賛」。
谷崎潤一郎は、渇を癒すように陰影の大切さ、を書いた。
暗闇を奪うべからず。
調布という小都市の周辺には、水木さんの安らげる、一時代前の環境が、
残っているのだろう。

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妖怪、勢ぞろい

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鬼太郎

それにしても、水木お化けって、こんなに面白くて、いいのかな。
げげげの鬼太郎。
「朝は、寝床でぐーぐーぐー。」
学校も勉強もないことを喜んでいるお化けなんて本物のお化けなの?
水木さんにお目にかかれば、これは、水木さん自身を歌にした、
「ぐーぐーぐー」だ、ということがわかる。

「ぼくは、8割は、趣味、2割は、サーヴィスで仕事しています。
 だらんとしているから、普通の仕事は、できないんですよ」
取材の時、そう言っていた。
「ぐーぐーぐー」の人生だ。
いいなあ。
だから、分身の、怖くないお化けが生まれるのだ。


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ネズミ男


「地獄は、世界でも日本の地獄がいちばん怖いですよ。目玉くり抜いたり、残忍ですよ。
 日本は、怖がらせることにかけては、天才ですよ」
当時のぼくの取材メモに水木さんの話が、そう書いてある。
怖いお化けは、嫌だから、かれは、妖怪を「お友達お化け」にイメージしたのだろう。
ぼくはそう思う。

お化けを守る会の会長だった、平野威馬雄さん(平野レミさんの父)にも、
「お化けを怖がらないで、親切にしてあげるの。
 その代わり、人間が死んだら、どうなるのかお化けに教えてもらうんだ。」
と、聞いたことがある。

水木さんも平野さんも、お化けにやさしく、親近感をもつ。 
水木さんのお化けが、ユーモラスなのは、水木さんのやさしい解釈である。

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鬼太郎茶屋

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水車小屋


それにしても、太平洋戦争中、マレーシアのジャングルで、現地人に
「水木しげるの妖怪画集」を見せたら、「これも、知ってる」「これも、これも知っている」と、
大いに共感されたという。
お化けは、世界共通のものか。
水木さんが、勝手につくりあげたものではないようだ。
世界の妖怪は、大体1000種類に集約され、世界各地で、共通していると、水木さんは、みている。
かれの子供時代、自宅に手伝いに来ていた、影山ふさという、「ののさん」(鳥取で神仏に仕える人をいう)
に、妖怪や、地獄という、もうひとつの世界を教えて
もらったことが、いまの自分の興味を、作り出しているという。


天神通り商店街に、鬼太郎はじめ、ねずみ男や、一反もめんなど、妖怪のモニュメントが並んでいる。
これは、どこの街の商店街にもあるパターンだが、活況を引き出すきっかけになればいいことだ。
そのなかでも、調布の場合、
鬼太郎茶屋(深大寺)の成功が町おこしの牽引力になったと、ぼくは、思う。
年代ものの、つぶれたそばやを買い取り、芝居仕立てのお化け屋敷をつくりあげた。
水木さんの故郷の境港の会社が、経営する、茶店兼、土産物屋である。
二階には、水木さんの、作品も展示され、鬼太郎茶屋らしい雰囲気をつくりあげている。
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ぎしぎしと鳴る階段のきしみも、大木の覆う家の暗さと、灯りの不気味さ。
マンガという、つくりものに、森と古寺と、つぶれかかりの古家のリアリテイが合体。
この立体的なだまし絵の世界を、一度、覗いてみたらどうだろうか。


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茶屋の二階

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ネコ娘

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鬼太郎茶屋

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茶屋のねずみ男

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