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あなたのこないクリスマス

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豊洲


昔の寒い話だ。
ぼくは高校生だった。
女子高生の友人がいた。
クリスマスの日、電車が2両で走る都市の郊外で、ほとんど客のいない駅のベンチに二人は座り
とりとめのない話を続けていた。
その頃、恋に恋していたぼくだったが、ふたりは恋人ではなかった。
クリスマスという甘美な幻想のなかで、愛をもたない虚しさを
そのとき程、感じたことはなかった。
かわいい彼女は、そこにいるのに、大切なものだけが不在。
彼女もまた、おなじ思いだったに違いない。
いまは幸い、静かであたたかなクリスマスを過ごす伴侶がいる。

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レインボーブリッジ

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ミッドタウン


イルミネーションが目立つ時期になった。
今年は、大切なひとのこないクリスマスになってしまった。
ぼくらふたり共通の友人が数日前、若くして亡くなった。
ショービジネスで活躍した平山高良さんである。
草月ホールのショーの企画演出が、かれの最後の仕事になった。
ぼくの観たかれの演出のなかで最高のエンターテイメントだった。
命と差し替えに創出したかのような怖い完成度の舞台だった。
選曲もステキで、やはり友人のダンサーの、のりちゃんやふみさんの
演技の流れにボクは、ぼろぼろと涙をこぼして隣席の彼女に気ずかれた。
その涙のCDのコピーを高良さんに送ってもらったっけ。
華やかなショービジネスの舞台。
ダンデイなかれの横顔が目に焼き付いている。
宝塚の「色は匂えど」のダンスヴァージョンだったと思うが、演出したかれに招待され、前列で一緒に観た。
幕が閉まると、演じたスターたちが、客席のかれにどっと集まった。
主演の愛華みれが、「高良先生!」とかれの手を握ったのが、鮮やかに目に残っている。
もう、かれはこない。


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豊洲

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昨年の六本木ヒルズ

ぼくのうろついた年末は、
六本木、や湾岸のどこでも
イルミネーションがやけに寂しかった。
氷の彫刻のような美しくも冷たい、その光の乱舞に、
心が馴染んでいくのは、残されたぼくたちの、虚しい思いに、あまりにも符合した風景だからだ。
パートナーの橘美枝子さんの心情は、いかばかりかと、冷たい光の影に思う。
高良さんと美枝子さんに贈ろう。

My Iove かえる場所は
ふたり過ごした カンパニュラの刻(とき)
そっと 降るはずのない雪が舞う  
平原綾香

クリスマス。
あなたのこないクリスマス。


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お台場

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お台場

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八重洲

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お台場

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コメント

はじめまして。
コーラ先生の公演に出演していたものです。
偶然、このブログを発見しました。

衣裳のときは奥様に大変お世話になりました。
一緒に金沢のお仕事に行ったこともありました。

このたび、故郷の秋田県に帰ることになりました。
どうか奥様によろしくおつたえください。

投稿: 山口マユミ | 2011年3月21日 (月) 01時47分

山口さん

ブログ見てくださってありがとう。
高良さん、亡くなって寂しいですね。
高良さんのタクトで、山口さん達が燃焼し、高揚したあの時代も
もう再現できなくなりましたね。

妻の愛子が、金沢の頃のこと懐かしがっています。
秋田に帰られるとのこと。
寂しいですね、といっています。

投稿: ゲンゴロウ | 2011年3月21日 (月) 13時55分

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