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2011年3月

東の空が凍り付いた。

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すざましい災害に遭遇した人々のあけくれを思うと、本当に心が痛みます。
持病に悩む程度の自分には、被害地の人々の苦悩は想像を絶する凄さです。
被害地の人々の痛みを、思い続けることくらいしか自分にはできない。

夜半、
災害地を思いつつ、子規の伝記を読む。
子規は、地獄のような病魔と闘う短命の人生だった。

記者として従軍した彼の「病」という文がある。
中国からの帰国船中で、かれは寝ていると「鱶が出た」と呼び出された。
甲板で、真っ黒な鱶の群れを眺めながら、真っ赤な血を吐いた。
不気味な黒い鱶と赤い吐血の鮮烈な対比。
青春とともに発生した病状は悪化し続け、脊髄カリエスとなった。
からだに蜂の巣のような穴があき、病巣から膿みが
あふれ、激痛が彼を苦しませた。

35才で短い生涯を閉じるまで、苦痛時は大声でわめき散しながら切り抜けた。
そんな地獄のなかで、
子規は冷静に作家活動を続け、誇り高く、人格の崩壊することはなかった。
そのすざまじい明け暮れを活字でたどりながら、
いまの東北地方の人々の苦悩と気高さにだぶらせた。

皆さんに幸運あれ。

幼児指す  東の空の夜寒かな       

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芸能少女と、おたくの街。中野。

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おたくの街


「加護ちゃん(タレントの加護亜依)の通学路を、花で一杯にしてください。」

いつだっか新聞か、雑誌かは忘れたが、少女ファンの投書が載っていた。
モー娘で老若男女に愛されていたタレントだった。
その後、加護は喫煙事件やら、スキャンダルで、苦難の道を歩いて行く。
芸能少女という、栄光と危険の険しい道を転けないで歩ける人、転んでしまう人、
さまざまだが、転んだエピソードの痛ましさ。

遠くは、投身自殺の岡田有希子、そして清水由貴子の死、直近では、麻薬の酒井法子。
いずれも、この魅力ある女性達の人生は、人間臭さと純粋の深い陰影に彩られてきた。

加護は別として、それら昭和のアイドルは、

「Perfume やAKB48 のような雑味のないスーパーフラットなゼロ年代アイドルとは、
 そこが決定的に異なっているのだ」(佐々木俊尚)

ということだろう。
それにしても、芸能という世界にいどむ女性たちを待ち受けている
陥穽や嫉妬や因幡の白ウサギのように、プライドの剝ぎ取られるさまは、みるも痛々しい。


通学路を花で飾ってあげたい、芸能コースのある学園は、
日出高校やクラーク記念国際高校などいくつかあるが、
加護が通った学校ではないが、多くのタレントの通う堀越学園に行ってみた。

古くは、岩崎宏美、森昌子、現役はジャニーズや、ドラマでみかける少女達も在籍している。
中野駅から、15分、閑静な住宅街に囲まれた環境に、学校はあった。
高い外壁は、教育の場を、芸能という興味の餌食にさせまいという
学校の配慮だろうが、整然とした住宅街に異和なく収まっている。
校則は厳しく、芸能のトレイトコースは礼儀作法など躾にキツイと聞いた。
正面にある、丘の上の公園から、午後の陽の落ちた学校を
退出する生徒達をぼんやり眺めていると、彼女達にフットライトを浴びる別の顔があったとしても、
想像できないほど、普通の風景だ。
この、少女たちの人生の平穏を祈りたい殊勝な気持ちになる。


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堀越学園

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帰途の少女達

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右に学校の通学路

駅前の中野ブロードウエイにいってみた。
マンションの下に商店街という下駄履き住宅だ。
この商店街は1966年にオープンし、商店規模は東洋一といわれた。
青島幸男や沢田研二が、上階のアパートに住んでいて、裏通りには橋幸夫の育った家もある。


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中野ブロードウエイ入り口


80年代に入るや、マンガ古書店の「まんだらけ」の出店以降、サブカルチャーの中心地として
次第に充実していった。
アニメやフィギュアー、コスプレなどのおたく文化をはじめマニアックな店、新しい業態のアンテナショップ
のような店が混在し、独特の魅力を醸しだしている。
ここは秋葉原と並んだ、おたくの聖地といわれている。
なんと、年間1000万人の来街者や、外国人の観光客も訪れるという。
山の手に立地しているが、衣類や靴のバッタ売り的なムードも混じり、
ラーメン、パチンコから始まって、あらゆる種類の店舗の下町風なごった煮だ。


さすが50年近いキャリアの商店街だけに、時代の「おり」のようなものがあって、それがコクを感じさせる。
オタクの狙いどこは、2階と3階。
「平成の三丁目の夕日」、とでも言いたくなる昭和を跨いだノスタルジーがそこここに臭う。
それが一度来たら、嵌まってしまいそうな商店街にさせている。

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おたくショップがずらり

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中心の「まんだらけ」


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コスプレショップ

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霊神占いの店

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いつでも人で一杯

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青海、ヒストリーガレージへ散歩

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カー・ミュージアム


午後、時間をもてあました。
サンダル履きの気分で、2時間くらい散歩でもしようか、と、ゆりかもめの豊洲駅から
240円の切符を買って青海に出かけた。
エスカレーターでホームにあがり、停まっていた車両に乗ろうとした瞬間、ドアを閉められた。
傍に立っていたバイト風の整理のおじさんに、
「アブナイじゃん、おじさん車掌に合図してよ」
思わず文句言ったら、「オットット」と手をかざしてひどく戸惑っていたから、
待てよ、あれっと思い直して、こりゃあ運転手のいない電車だったんだっと気がついた。
無人の運転席に坐って、スーッと音もなく進んでゆくのは心地よい。
魔法のジュウタンに乗ったようにふわっと。
スタートして2駅あたりは、まだ草ぼうぼうの更地が続き、
「市場前」という駅名はきまっているものの、築地から移転するのかしないのか決まらない、
その用地のあたりも閑散としてなにもない。

電車は、更に進む。
イベントのよく催される東京ビックサイトの建物は、巨大なゴジラが、覆いかぶさってくる
ような迫力だ。


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市場駅は、草の中

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宇宙基地のような有明

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東京ビッグサイト

もうすぐ青海だ。結構ここから眺める海は、のびのびとして涼風が心地よい。
青海はお台場から海に向かって正面にある。
しばし、青海の駅でボーっと海を眺める。
左と右に長い埠頭が海方向に伸びて、外国船らしき船が、何隻も停まっている。
みな貨物船なのだろう。
広い空間のなかに音がない、それにカモメも飛んでいない。
180度の視界は、凪ぎのようなフシギ。


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青海

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青海

駅からビーナスフォートはすぐ隣り。
観覧車が映り込んでいる、ショーウインドを見ていたら、小6か中1くらいの生徒7~8人が、
そこのメンズショップにごく自然にスイッと、入って行った。
修学旅行生か?
「オイオイ、きみたち、そこは君達のいくとこじゃないんだろ」
若い、付き添いの先生があわてて制止した。
こまっちゃくれた少年達が、ナチュラルにすっとメンズショップに入って行くのがなんともオモロい。
思わず、
「そりゃ、先生が間違っているんじゃないの。
 もう、この子らの、頭んなかあ洒落っ気だけ。」
と、ぼくがチャチャをいれたので、先生は大笑いした。
生徒たちは、空が明るくなったり、暗くなったり、人工的な仕掛けになっている
中世ヨーロッパのイメージのヴィーナスフォートの商店街に入っていった。


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ヴィーナスフォート、ショーウインド

この奥に、カーマニアには垂涎ものの、トヨタのカー・ミュージアムがある。
今日は、ここが狙いだ。
この前は、バスで遊びにきた。
トヨタは、このミュージアムのほか、くるまのテーマパークと称して、
ハイブリッドから、スポーツカー、キッズのライドワンなど、豪華なプレゼンテーションをしている。
豊田市にある、立派なミュージアムにはとても敵わないが、このミニミュージアムもなかなかいい。
鯨のようなアメ車や、イタさんのアルファロメオ、ドイツの三輪タンデムなど、
年期の入ったクラッシクカーを中心に、3000車種のミニカーや自動車関連書籍のショップ、
それに、アメリカのカウンターバーなど、カーマニア垂涎の聖地になっているのだ。

元F1ドライバーのA ・ナニーニのプロデュースするイタリアンカフェもあり、オープンテラスもある。
ぼくが一番痺れるのは、車もさることながら環境のデイスプレイだ。
もちろん、幼児だって、ここじゃあ目が丸くなる。
2~3才の男児が、妙なもの見たように興奮している。
「おまけあったよ。お母さん。」
ミニカーをグリコのおまけと勘違いしてるんだろう。
子供はこどもの目線で楽しむ、それでいいじゃん。
おじさんは、69年に行ったアメリカの郊外の風景を回顧して、だらしなくその情感に酔う。
アメリカ版、「三丁目の夕陽」だ。
ぼくが勝手に痺れてるミュージアムの売りは、そんな雰囲気ずくりだ。
50~60年代のアメリカの片田舎を模したモーターインや、ミラノの下町のアパートにぶら下がる
洗濯物の風景など、大道具小道具にも凝っている。
こういう手のこんだ、仕事が出来るのも、さすがトヨタと言わざるをえない。


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カー・ミュージアム

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ミラノの下町風な

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二階のオープンテラス


オット。
もう時間だ。すぐ前のワンチャンショップに寄りたいが、またにしよう。
よだれのでそうな、かわいい小犬が、いろんな表情をみせるのだが。
帰りはすぐ、前が東京テレポートのバス停で始発。
200円。
乗客は、オレひとりだ。
ひとけのない車内を見渡して、
ふだん無愛想なオレが思わず、「どうも」って言ってしまったら、
ふだん無愛想な運転手さんが、「ありがとう」って返した。
今日の散歩、440円。


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ボクはこれが好きだったのだ

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