
4月9日、朝日新聞の、福島第一原発、免震重要棟で対策を練る人達の映像にショックを受けた。
この50人ほどの人以外にも炉に近い現場に張り付いている多くの人々の
ナマの現実の一端が、ここにある。
ぼくは、このひとり、ひとりの表情を目をうるませながら眺めた。
静けさと、緊張感。
家族への思いをめぐらせながらも、かれらは、ミッションを貫ぬこうとしているのだろう。
それにしても、内外からの震災の義援金、ボランテイア、消防、警察、自衛隊、政府と地方自治体、
それに外国の救援隊、あらゆる機構や個人が、じつに感動的な活動をしている。
いち早く、巨額な義援金を拠出した久米さんや、石川遼クンの凄さや、それに貧しい
お笑い芸人の陰徳など、心打たれることの連続だ。
ただ、こんな事態に陥っても、政治が一体化して国難に当たる事が出来ないのは本当に情けない。
そのなかで、小さいが党を超えた善意で、心をなごませるできごとがあった。
3月末、防災服を着た細野豪志首相補佐官とすれ違った自民党の河野太郎衆議院議員は、
海外に持つ広い人脈をもとに耳打ちした。
「その服を着て会見するのはやめた方がいい。
海外から、『東京も危ないのか』という声がよせられ、誤った印象を与えている」
と、忠告した。(朝日4月4日)
枝野官房長官のだぶついた防災服が消えた背景がこれである。
その枝野さんのことだが、
国難のさなかで、政治家でも業界人でも、理性を失ったり、つい感情的になったりする
そんな場面は、TVにも散見されるが、
枝野さんの沈着、理性的なスポークスマンぶりは見事である。
英紙デイリー・テレグラフ(電子版)でも、よく頑張っている、と評しているそうだ。

沈着、といえば、先発出動の福島第一原発に向かう自衛隊の記者会見での、
統合幕尞長の折木良一さんの貫禄と確信に満ちたメッセージを聞いていて、ホントに安心した。
久しく日本から消えた、風格ある統率者の出現を見た思いだった。
それにしても消防、警察、自衛隊と組んだ日本のデイフェンスは実に心強かった。
放射能障害のことを考えよう。
心配はつのるが、事故最悪のケースのチェルノブイリのデータに学ぶのも大切だ。
チェルノブイリ事故は、汚染区域で10~20ミリシーベルト。
個人の意志で、強制移住地区に住み続けた人の積算値は50ミリシーベルトを超えたという。
しかし、やや、安堵感をさそう注意深いデータがある。
国際機関と共同でチェルノブイリでの健康調査を実施してきた山下俊一、長崎大教授(被爆医療)
によると、セシュウム137の影響を受けた健康被害については確認されていないというのだ。
山下さんは
「現地の人は汚染されたキノコや野菜を食べ続け、
体内にセシュウム137を500~5万ベクレルぐらいを持っているという。
しかし、なんら疾患が増えたという事実は確認されていない」
と述べているのだ。(データは朝日新聞、4月8日)
ぼくたちは、食べ物のことにもっともっと注意深く向き合わねばならないが、
ぼくはもう歳だし、この際、山下教授の調査データを信じて、
放射能の過度な心配はしないことにした。
交通会館で販売している被災地産の野菜や果物などを
買って食べ続けてみようと思っている。

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