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BASHOO WHO?芭蕉に会いたい。1

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芭蕉


寅さん。
知り合いでも、なんでもないが、懐かしい。
70年、N.Y。オフ・ブロードウェイ。
東由多加の東京キッドブラザースの公演会場のラ・ママ付近で、
寅さんを見かけ眼が合った。
思わず会釈すると、あの笑顔で答えてくれた。
ただ、それだけのことだが懐しい。
それに似たほのぼのした気持って、芭蕉にも感じられる。

 芭蕉って暖かい人なんですね。
 
 芭蕉について、いろいろ文献をあたると、才能のみならず、人間性豊かな人だってことが
わかりますね。
俳人としての名声の反面、いろいろ下世話な苦労を重ねた人でもあった。
人間くさい芭蕉の魅力が、
どんどんするめを噛むように味わい深くなってくる。
深川の芭蕉庵跡で、ゆったりと、かれのイメージに浸ってみる。


芭蕉には変わった弟子も多いが、
乞食だった路通という男を拾い上げ、意気投合したこともある。
奥の細道に同行させようとして、弟子たちに猛反対を喰らった。
路通は、素朴で純粋な心根の男だったらしい。
だが、一面、素行が悪く、のちに師恩に背き、弟子たちの総スカンをくらった。
「先生、路通は破門しましょう」、弟子たちが喚いた。
それでも、芭蕉は最後まで彼を見捨てなかった。


弟子の指導には、こんなエピソードがある。
「猿蓑」撰の時、宗次という男が,作品を数句もってきた。
これが、どうしようもない句で、ダメだと言っても、宗次はネバって納得しない。
芭蕉は、「まあまあ、すこし楽にくつろぎなさい。わたしも寝転びますから」
といった。
宗次は、なかばやけ気味に
「じゃあ、じだらくに寝そべって涼みますか」と、ゴロリと横になった。
すると、すかさず芭蕉は、
「それだ、それが立派な発句だ」、と指摘した。
そして、

 じだらくに  寝れば涼しき   夕べかな

と句が、出来、入集した。
作意を嫌らい、自然に発想しなさいという、芭蕉らしい、指導の一コマだ。
俳句は、頭でひねりまわして作るもんじゃないぞ、というのが
芭蕉の言いたかったことだろう。


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隅田川に面し、芭蕉が住んだ。

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川に向かい、像が建てれている。


あちこち、地方にも蕉門の弟子が多かった。
したがって、弟子たちの争いも起きるし、芭蕉に仲裁を求めてくる。
大阪の弟子が深刻な対立を起こしてる。
ヤレヤレ。
仲裁のために、「どっこらしょ」と、芭蕉は、江戸から腰をあげた。
旅の疲れもかさなったのだろう、大阪の弟子宅で、馳走のきのこをたべすぎて
下痢に苦しみ、命を失った。

 旅に病んで   夢は枯野をかけめぐる    (辞世の句)

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芭蕉記念館にある、芭蕉庵模型。


小名木川が隅田川に合流する角、芭蕉の庵のあったあたりに、時折ボクは出かける。
そこであった昔の出来事だ。
1682年、江戸の大火で、芭蕉は、小名木川の泥水につかり、洲を這い上がり、死から逃れた。
地獄繪のような惨状だったようだ。

 弟子の其角によれば、芭蕉の「草庵、急火にかこまれ、潮にひたり苫をかつぎて、煙のうちに生きのびけん。」とある。

そして、この惨事で、芭蕉は「猶如火宅の変を悟り、無所住の心を発し」た、
と其角は述べている。
 芭蕉は、「人生無情の心境に傾いた」と、この高弟はいう。
この大災害は、芭蕉の人生観を一変させた。

  草深い庵の孤独。
この頃の芭蕉の句には、貧しさや寂寥感に満ちたものが多い。
庵の近辺は、江戸名所図会に描かれた万年橋から、隅田川、富士を
望む指折りの景観の地でもあったのに。

 雪の朝  独り干鮭を噛り  得たり
 櫓の声  波を打つて  はらわた氷る夜や涙

 ある夜は、烈しく屋外で荒れ狂う野分、割れるような芭蕉の葉の音、屋内に落ちる雨、盥を打つ水音。
そこに佇みつつ、句を詠む。
この庵でつくられた句からは、寒々とした日常しか浮かんでこない。

それにしても芭蕉は、多面性をもつ、魅力的な人物だった。


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万年橋。大火で、芭蕉はこの川に逃げた。

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描かれた、芭蕉の逃げる姿。

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芭蕉庵のあったと推定される、芭蕉神社。下は、芭蕉庵のスケッチ。

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