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神楽坂で、ガレットをつまみ、ザーズと鏡花を偲ぶ。

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神楽坂

I'm 14years oid I'm pretty
借り暮らしの [アリエッテイ]を唄うセシル・コルベルは、
フランス・ブルターニュの生まれだ。
ブルターニュといえばガレット。
妖精のささやきのようなセシルの歌を聞いているとガレットが、無性に食べたくなった。
ガレットは、そばの粉で焼いた質素な食べ物だが、味は深い。

 神楽坂の、「ル・ブルターニュ」に、ガレットを食べにでかけた。
ガレットにシードル(リンゴ酒)を添えて味わうのが、ブルターニュ地方のいわば
郷土食らしい。
「シードルは、辛口にしますか」
いや、甘口で。
客は、女性が多いが、男性は、ボク以外はフランス人のようだ。
隣も、正面のテーブルも「*&$%”~」フランス語。
そういえば、神楽坂は、フランス人の多い街だ。

 軽いこのランチを味わっていると、店内には、ZAZ (ザーズ)のハスキーな、
声が流れてきた。
モンマルトルの路上で、リズムをとりながら唄う彼女が眼に浮かぶ。
心地よい。
曲は、ぼくの好きな、「私の街で」、だ。
もう、きょうは、ガレットと、ザーズで、ぐにゃりと、背骨もとろける気分。

 神楽坂の坂を上ると、左右に葉脈のように、花街の料亭が、ひしめいている。
明治、大正、昭和にかけて賑わいのあったこの街は、古い面影も残っていて、
コクのある楽しさにひたれる。
ぼくの好きなのは、古都の雰囲気に加え、フランスの香りが、ミックスされているところだ。
喧噪から遠い、日仏学院付近の散歩や、アグネスホテルのアフタヌーンティーだけでも、
一日、贅沢にくつろげる。

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ル・ブルターニュ

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ガレット


 毘沙門天の横の藁店(わらだな)から、袖摺り坂をすり抜けて、
小説家、尾崎紅葉の邸跡に向かう。
この道筋あたり、漱石をはじめ名だたる作家たちの愛した田原屋(閉店)や相馬屋(文具)がある。

 紅葉の住んだ家に着く。
紅葉は、小説「金色夜叉」で、知られた作家だが、
この紅葉の家に弟子入りした泉鏡花の
波乱に満ちた人生の方に、ひときわ興味をそそられる。
鏡花は、紅葉に内緒で、神楽坂の芸者、福太郎とねんごろになり同棲する。
それが、露見し、紅葉は怒り狂い、鏡花を殴り、ふたりの仲を裂く。
「この家で、懲らしめられたのかな。」

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毘沙門天

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袖摺坂

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尾崎紅葉の家


 福太郎(本名、すず)は、5才で、母に捨てられ、芸者屋に売られた悲しい身だ。
薄幸の福太郎に情けをかけたやさしい鏡花は、仲を引き裂かれて、
辛く、やりきれない思いだったろう。
紅葉は、まもなく亡くなり、ふたりはまたもとの生活にもどれるが、鏡花はこの悔しさを、
「婦系図」(おんなけいず)という、自分たちをモデルにした悲しい物語に書き上げて、
世間の大喝采を得る。

湯島通れば  思い出す
お蔦(おつた)  主税(ちから)の心意気       

「婦系図の歌」
詞.佐伯孝夫.
曲.清水保雄.

新派、大悲劇の舞台としても演じられた。

 鏡花と、福太郎が、贔屓にした料理やの「うお徳」が、本多横丁と、軽子坂の角にある。
初代の主人の徳次郎は、「婦系図」の物語のなかで「め組」という渾名の威勢のいい魚屋で登場する。
気っ風のいい、繊細な料理の腕の魚屋だったらしい。

 その「うお徳」を探して、うろうろして、鳥料理の「三菊」のまえにいた女将に場所を尋ねた。
女将は、100メーターほど離れた「うお徳」までわざわざ案内してくれた。
「今度、うちへも来てね。きっとよ」
「はいはい、きっと」

神楽坂の路地に蝟集する格式ある料理屋でも、昼はランチを提供する店が、ちらほらある。
ご時世だナ。
静寂につつまれた粋な黒塀の店には、
ちょっと入りずらいが、リーズナブルな価格なので、サラリーマンが、腰をかがめて
暖簾をくぐっていく。

ぼくは、「トンボロ」で、コーヒーを味わい、梅花亭の「三色最中」を土産に買って帰った。
おっと、紀の善の「あんみつ」も、ってあの人にいわれたんだっけ?


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うお徳

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枯淡な店もある

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トンボロで、コーヒーを

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