« 駄菓子屋の奥でピアノのの音、火の鳥が飛んだ。鬼子母神界隈。 | トップページ | Blue Note , 思い出トランプ、スイングする坂道。南青山。 »

 「カレーの市民」。少年の心に帰れ、国際子ども図書館。上野。

01_p1410013
ロダン作、「カレーの市民」


 上野にいってみた。
西洋美術館。
ロダンの彫刻、「カレーの市民」の前で、ボランテイアのおじさんが、
子連れの母子に、「この老人の手にしている鍵は、なアんだア」などと声をかけていた。
おじさんは、それをきっかけに、この彫刻のいわれを語り出した。
ぼくも、それをきっかけに、
いままで、彫刻美としかみてこなかったこの「カレーの市民」に、もう一度、歴史の真実と
して向き合った。

02_p1410016
カレー市の鍵


14世紀に英仏の間でおきた100年戦争時代、ドーヴァー海峡に面するフランスの「カレー市」
は、英国軍に包囲され最後の攻撃を迫られていた。
ウスターシュ・サンピエールは、敵の攻撃を回避させるため、他の5人とともに、
英国王の陣営におもむき、首をさしだし、それを条件に攻撃をやめさせた。
後世、ロダンはこの勇気ある人々の彫像の制作を、市から依頼された。
ロダンは、絶望と苦悩のうちに市の鍵を手に、首に縄を巻いて裸足で市の門をでてゆく
ウスターシュたちの群像をつくりあげた。
じっくりみると、死に直面した男たちの、恐れや苦悩がナマナマしく迫ってきて、
胸をうつ。
「知らなかった?この話」
少年と母親に、おじさんはていねいに説明していた。


03_p1410040
説明を聞く、母と子


 暑い日が続いた。
しかし、上野の森は、美術館、博物館、科学博、みんな一杯の人だ。

「科学博物館で、恐竜展観たでしょう。」
科学博の付近にたむろしていた少年たちに声をかけた。
「あそこに、ハチ公の剥製があるって知ってる?」
「へえ、渋谷のハチ公の?」
少年たちは、一瞬目を光らせた。


04_p1410205
科学博前にいた子ども


国立博物館の西側の一角に不思議な建物がある。
白い建物の壁に、夜になると光の十字架がふたつ投影される。
一見、礼拝堂にみえるが、映画館だ。
「一角座」客席150席。
作った映画を配給を通さず即、自前の館で上映する。
「産直方式」というのだそうだ。
鈴木清順監督の作品、「ツゴイネルワイゼン」を、エアドーム型の移動式映画館で、
上映し、興行を成功させた、荒戸源次郎プロデユーサー。
かれが仕掛け、博物館の杉長敬治さんが賛同して
できあがった、インデイーズを刺激する画期的な映画館がこれである。
まあ、せちがらい営利主義の世の中で、ふたりはスゴいことをやってのけたものだ。
映画人の高い理想に、脱帽。
だが、
今日出かけたら、廃館になっていた。
日本の文化事業のはかなさを嘆いて、あえて無くなってしまったが、これに触れておく。

05_p1410245
一角座。朝日、戸村登氏撮影


時折、立ち寄るのだが、国際子ども図書館に今日も行ってみた。
ぼくのような大人でも、絵本を楽しむことのできる、すばらしい環境だ。
もちろん、ここは親子連れには、もってこいのすばらしい図書館だ。
広いテラスも喫茶ルームもある。
ぼくも、まだ乳児の、いとしい孫の望乃ちゃんを、いずれここに連れてくるのを夢みている。


06_p1410087
国際子ども図書館

07_p1410095

きょうは、ぼくの少年時代の懐かしい本の特別展が開かれていた。
「ジャガーの眼」「ああ、玉杯に花うけて」「注文の多い料理店」…………。
懐かしさが、こみあげてくる。
ア!
あった。
「苦心の学友」……大好きな、佐々木邦だ。

ひとけの、すくない館内で、すこしぼんやり、時を過ごす。

もうひとつ、黒田清輝の黒田記念館で、作品の「湖畔」を鑑賞して、帰ろう。

なんだ、なんだヨ。
何回かここへ来たが、今日は休館だった。
この作品の「湖畔」は、箱根芦ノ湖の湖畔に憩う美女の絵だ。
モデルは、のちに黒田夫人となる女性で。1897年の作品だ。
ボクは、上野の美術品のなかでも、相当気になる繪だ。
明治文学のドラマをTVで時折観るが、鴎外の「雁」や、漱石の「三四郎」などのヒロイン役は、
杏ちゃんが演じていると、ボク好みの明治の女性が描かれていて楽しい。
「やっぱり、杏ちゃんが、ぴったりだよなあ」
ひとりで、悦に入っている。
しかし、鹿鳴館以降、、急速に激変してゆく明治日本の先端を走る女性は、
杏ちゃんより、すこし激しさと意志の強そうなニュアンスの、この「湖畔」の女性だった
ような気がする。

ボクは、杏ちゃんのような安らぐ女性のほうがずっと好きだけど。

広大な緑の上野の森。
いろんな歴史的事件や、失意の詩人白秋が、子どもを抱いて散歩したり、
原っぱで野球に興じた子規など、夢のつまった場所が、ゴロゴロこのあたりに転がっている。
文学者や、将軍の歩いた森を、想像をたくましく、楽しむ。

山をくだって広小路口に来たら、中華飯店がポツンとあった。
「エ?、こんなとこに店なんか、あったっけ?」
はじめて、めっけた店だ。
店頭に、
「ここで、ゴチになります、のロケがありました」みたいな紙が貼ってあった。
ゴチも、こんな環境にまで、遠征しているんだナ。

すぐ近くの階段に、髭ずらのおじさんが、段ボールを片手に、茜空を眺めていた。
こころなしか、
ホームレスの人達も、なぜかのどかにみえる。


08_p1410128
黒田記念館

09_p1410252
黒田清輝「湖畔」

10_p1410233
旦妃楼飯店

|

« 駄菓子屋の奥でピアノのの音、火の鳥が飛んだ。鬼子母神界隈。 | トップページ | Blue Note , 思い出トランプ、スイングする坂道。南青山。 »

僕的、都市ウオーク&おいしい。」カテゴリの記事

写真」カテゴリの記事

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1150352/41382552

この記事へのトラックバック一覧です:  「カレーの市民」。少年の心に帰れ、国際子ども図書館。上野。:

« 駄菓子屋の奥でピアノのの音、火の鳥が飛んだ。鬼子母神界隈。 | トップページ | Blue Note , 思い出トランプ、スイングする坂道。南青山。 »