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ねむの木の庭、プリンセス・ミチコが咲く。そこから白金へ。

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ねむの木の庭


もう、10年以上前だったが、夏、麻布の有栖川公園の坂上を、かみさんとふたりで散歩していた。
人影が全くない。
さらにゆくと、細い道路の信号機をひとりの警察官が、青信号に固定していた。

「どうしたんですか?」

尋ねると、

「天皇ご夫妻が、テニスにおいでになるんですよ」

と、笑って答えた。

まもなく、天皇ご夫妻だけのお車がひとつ、坂道をゆったり登って来た。
空いた窓から、天皇ご夫妻は、ぼくらふたりに笑顔で手を振ってくださった。
なんのしばりもない、ミカドと庶民、のどかな一瞬の風景。
警察官も笑顔で佇み、天皇ご夫妻も運転手だけのおでかけ。
こんな、ゆるやかなご日常が、すべてであれば、
いつも、天皇ご夫妻のみこころも安らかであられるのだろうに。

皇后様のご実家跡が、「ねむの木の庭」という、公園になっている。
五反田から、坂道の続くお屋敷の間を縫って、すこし息切れしながらそこにたどりついた。
175坪。こぶりな花壇公園だ。
庭には、約60種類の草花や木々が植えられているそうで、ていねいな手入れがされていた。
皇后には、ご自分の思い出の詰まったご生家である。
さぞや、取り壊しに、みこころを傷められたことであろう。
保存の希望が、あちこちから随分でたが、「皇后様は、保存をお望みでない」と
宮内庁は、ご決断されたことを公表した。
茶色の塔のようなものが建っているが、これは正田邸の暖炉のあった場所に、
設けたガス灯だそうだ。


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ねむの木の庭

皇后様ゆかりの花が、二種類、咲いていた。
ひとつは、「プリンセス・ミチコ」と名ずけられた薔薇である。
オレンジ系の美しき微笑の花は、妃殿下だった当時、訪英の折、
現地の園芸会社が、
新種のこの薔薇に妃殿下のお名前をいただき、それを贈呈したものだという。

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薔薇、プリンセス・ミチコ

もうひとつは、「ゆうすげ」。
皇后様のお好きな、花だそうだ。
ゆりの仲間で、夕方に花を開き、一夜でしぼむ、かれんな花である。
ちょっと、はかない想いに駆られるが、
楚々として香しい。

「もう、2回ほど、この花をご覧にみえましたよ。」

庭の手入れに余念のない老齢のおじさんが、皇后様の
おしのびでみえたご様子を教えてくれた。

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皇后様のお好きな「ゆうすげ」


やはりこのお庭は、波乱万丈の昭和を生き抜かれた美智子皇后の
みこころを偲ぶにふさわしいお庭となっている。


さあ、
蔦に覆われた民家の角を曲り、白金へ向かう。
外苑西通りをプラチナ通りとよぶ、メデイアの感覚は好きではないが、
ボクの思う素敵なところは、直線は平凡だが、湾曲するあたりの緑深い街、路だ。
そのあたりにひとつの魅力のエッセンスがある。
風そよぐアベニュー。
チョコレートのエリカ、イタめしのルクソールも近い。
だが、
「エリカ」
閉まっている。

8月いっぱいは、なぜかお休みだと、花屋のお兄さんが教えてくれた。
ミルクチョコレートのなかに、マシュマロとクルミのはいった「マ・ボンヌ」。
これは、以前、賞味して、しびれたことがある。
あーあ。今日はダメかア。


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風そよぐ、プラチナ通り

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レストラン


庭園美術館に急ごう。
いまは、エルミタージュの所蔵品を展示している。
「皇帝の愛したガラス」展だ。
エミール・ガレなどもあったが、18世紀中心のガラスコレクション。
いやあ、絢爛豪華。
この美術館はアール・デコの大好きなぼくの、くつろぎの場だが、
洋風庭園がまたいい。
巷で35度ともいうこの猛暑にも、ここは涼風を感じる広い庭で、読書にひたる淑女たちがいた。
優雅ア。
最後の目的地に向う。


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東京都庭園美術館

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美術館の庭園、読書する女

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もうひとり、読書する女

時代屋、おっと、ではなく時代物の着物を扱う「池田」だ。
ぼくは、19世紀の英国製の古椅子を一脚もっているが、ボロボロなので、
ここで古い帶地でも買って、張り替えようというわけだ。
3人の親切なおばあちゃんの店員が、あれこれ探してくれた。
「あったア!」
おばあちゃん三人も同時に笑顔になった。
この店では江戸時代から現代までの布が揃うという。
着物、浴衣、羽織からちりめんの端切まで多彩。
しかも、値段はリーズナブル。

きょうは、フシギな感覚の散歩になった。
いつもはセレブな街にまぎれこむ異物のような感じのボクだが、意外やきょうはそれなりに
楽しめた一日だった。

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時代着物店の池田

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